2012年01月26日

【民事】マイカー通勤途中の事故に対する使用者責任

先日とある顧問先から電話にてこんな質問が。

「マイカー通勤している従業員が通勤途中で交通事故を起こし加害者となった場合、会社責任を問われることはあるのか?」

その時は以下のように回答させて頂きました。

・通勤途中であれば業務外であり、直接指揮命令下にないので、原則会社責任は問われないのではないか
・ただし、その従業員が自動車の任意保険等に加入していないことが分かっててマイカー通勤を認めていたら、会社責任を問われてしまうのではないか


しかしその後、使用者責任を問う判例もあることが分かりました。


福岡地裁(平成10年8月5日判決)のマイカー通勤中の事故について

・通勤は、業務そのものではないが、業務に従事するための前提となる準備行為であるから、業務に密接に関連するものということができる
・使用者としては、従業員の通勤状況(経路や手段など)を把握しておくべき
・マイカー通勤者に対して、普段から安全運転に努めるよう指導・教育するとともに、万一交通事故を起こした時に備えて十分な保険契約を締結しているか否かの点検指導が必要
会社がマイカー通勤を認めたうえで通勤手当を支給していた

などなどから、使用者は使用者責任を負うべきである。


正直なところこの判例には驚きました。(特に「業務に密接に関連するもの」という部分)

地方では基本的にマイカー通勤というのは当たり前です。

以上のような判例があり限り、会社は通勤途中の事故だからと言って、無条件で責任を逃れることができない可能性もあるということです。

最低でも、

・従業員が任意保険に入っているか
・任意保険はきちんと更新しているか
・任意保険の補償内容は十分か

くらいはちゃんと把握しておかなければなりませんね。

今までも僕は就業規則を作るとき、新規採用したときの提出書類として

・免許証のコピー
・自賠責や任意保険の証書のコピー

の提出を義務付ける旨記載することが多いですが、場合によってはマイカー通勤規程の作成の必要性もあるでしょう。

現実、このご質問を頂いた顧問先では、以上の判例を紹介させて頂いたうえで、マイカー通勤規程を作成することになりました。

今後こちらの顧問先だけでなく、他の顧問先に対してもアナウンスしていかなければならないと痛感させられましたね。

また1つ勉強になりました。

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posted by kikuchi at 18:31| 山形 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | 制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この福岡地裁判決は、高裁で使用者責任を認めず、最高裁では棄却されています。福岡高裁ネ740号
Posted by 通勤事故 at 2013年02月01日 23:03
通勤事故さん
コメントありがとうございます。
高裁では一度使用者責任を認めない判決が出てたんですね。ありがとうございます。

いずれにせよ、山形など地方では自動車通勤は当たり前です。それに対して普通に通勤手当も出てます。
会社側もきちんとリスクを認識しておかなければなりませんよね。
Posted by kikuchi at 2013年02月02日 10:54
あ、最高裁で棄却されたということは、高裁の使用者責任を認めないというのが最終なんですね。
すみません。勘違いしてました。

僕ももう一度ちゃんと調べます。
ありがとうございました。
Posted by kikuchi at 2013年02月04日 08:48
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